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2級仕訳編 その他

有価証券の預かり・借入れ・差入れ

有価証券を預かった場合、額面金額で保管有価証券勘定の借方と預かり有価証券勘定の貸方に記入します。
有価証券を借り入れた場合、時価で、保管有価証券勘定の借方と借入有価証券勘定の貸方に記入します。
有価証券を差し入れした場合、帳簿価格で有価証券勘定から差入れ有価証券勘定に振り替えます。

【例】

1. 銀行から、¥3,000,000を借り入れるため、同行あてに、同額の約束手形を振出して渡した。利息¥90,000を差し引かれた手取金は、当座預金とした。なお、担保として所有の有価証券(額面¥3,500,000 簿価¥4,000,000)を差入れた。

2. 取引先大阪商店に現金¥700,000を貸し付け、この担保として、同店から公債額面¥1,000,000、時価@¥98を預かった。

3. 京都商店からAAA社株式300株(1株の額面¥50,000、時価¥71,000)を借り入れた。

(仕訳)

1.(借方) 当座預金

2,910,000

(貸方) 借入金
     (手形借入金)

3,000,000

      支払利息

90,000

     有価証券

4,000,000

      差入れ有価証券

4,000,000

2.     貸付金

700,000

     現金

700,000

      保管有価証券

1,000,000

     預かり有価証券

1,000,000

3.     保管有価証券

21,300,000

     借入有価証券

21,300,000

●参考

1. 所有の有価証券を担保として差入れても所有権は当方(自社)にあります。(所有権は移転しません。)自社所有の別の有価証券と分類するために有価証券勘定(資産減少、貸方記入)から差入れ有価証券勘定(資産増加、借方記入)に振り替えます。その後、借入金を返済して担保の有価証券が返却されたら、差入れ時の反対の仕訳{(借方)有価証券(貸方)差入れ有価証券}をして所有の有価証券を元の勘定に戻します。

有価証券

差入れ有価証券

返却時   4,000,000
(戻ったとき)     

差入れ時 4,000,000
(担保差入れ)     

差入れ時 4,000,000
(担保差入れ)     

(返却時) 4,000,000
(戻ったとき)       

2. 有価証券を担保として預かったとき、当方(自社)所有の有価証券とはなりません。担保として預かったので管理目的のために保管有価証券勘定を設けてこの借方に記入します。また、有価証券を担保として預かっているので返却義務が同時に発生しますので、預かり有価証券勘定を設けてこの勘定の貸方に記入します。

3. 担保として有価証券を差入れる場合に、自社(自己)所有の有価証券がない場合がありえます。そんなときは、他から借り入れる場合もあります。このようなときに、保管有価証券勘定(資産増加、借方記入)と借入有価証券勘定(負債増加、貸方記入)を設けて、時価で記入しておきます。

 

債務の保証

会社が他人の振り出した手形を保証したり、他人の債務の保証人になる場合があります。この場合、保証人は、債務者が債務の履行をしないときには、債務者に代わって、債務を履行しなければならない。債務の保証によって偶発債務が生じます。この偶発債務を簿記では、(借方)保証債務見返・(貸方)保証債務の対照勘定を用いて備忘的に記録をします。また、期日に返済された場合、または債務者に代わって返済した場合のどちらでも、先に記帳した反対仕訳を行い、偶発債務を消滅させます。

【例】

1. 第一商店の借入金¥2,000,000の保証人となった(偶発債務について仕訳すること)。

2. 上記の借入金について、第一商店が約束期日に返済できず、利息¥50,000とともに現金で弁済した。

(仕訳)

1.(借方) 保証債務見返

2,000,000

(貸方) 保証債務

2,000,000

2.     未収金

2,050,000

     現金

2,050,000

      保証債務

2,000,000

    保証債務見返

2,000,000

●参考

1. 会社が保証人となった場合、偶発債務が発生し、(借方)保証債務見返・(貸方)保証債務の対照勘定を用いて備忘的に記帳します。保証債務見返(資産の勘定)は、会社(自己)が保証人となった相手方(債務者)に対しての求償権を示し、保証債務(負債の勘定)は、債権者{自己が保証人となった相手方(債務者)に金銭等を貸した者}に対しての弁済義務を示すものです。

2. 保証人となった相手方(債務者)に代わって、債務返済をした時は、実際に会社(自己)の債務となったので、偶発債務は消滅します。よって、(1)の仕訳の反対仕訳を記入して両方の勘定を消滅させます。しかし、弁済した金額は、会社(自己)が保証人となった相手方(債務者)に対して請求権がありますから、債権の勘定として未収金(資産の勘定)の借方に計上しておきます。

 

手形の更改

手形の支払人が、支払期日に手形代金の決済が困難なった場合に、支払の延期を代金受取人に申し出て、代金受取人が承諾してくれれば、新しい手形(支払期日を延期した手形)を振り出して、古い手形と交換してもらうことがあります。このことを手形の更改(手形の書き換え)といいます。手形の更改(書き換え)によって、支払人(債務者)の古い手形の債務が消滅して、新しい手形の債務が生じます。受取人である債権者は、古い手形の債権が消滅して、新しい手形の債権が生じます。また、手形の更改(書き換え)によって延期してもらった期日分の利息を、手形を交換してもらうときに支払う場合と、新しい手形の額面金額に加算することもあります。

【例】

1. 第一商店は、第二商店にあてて振り出した約束手形¥700,000を、支払期日の延期を申し出て承諾を受けたので、新しい約束手形を振り出して、古い手形と交換した。なお、延期した日数に対する利息¥7,500を現金で支払った。

2. 第二商店は、支払延期を承認し、手形を交換し、利息¥7,500を現金で受け取った。

(仕訳)

1.(借方) 支払手形

700,000

(貸方) 支払手形

700,000

      支払利息

7,500

      現金

7,500

2.     受取手形

700,000

     受取手形

700,000

      現金

7,500

     受取利息

7,500

●参考

1. 手形を更改(書き換え)した場合、古い手形の債務が消滅しますから、支払手形勘定の借方に記入し、新しい手形の債務が発生したので支払手形勘定の貸方に記入します。また、支払った利息は、支払利息勘定(費用の発生)の借方に記入します。

2. 手形所持人が、手形の更改(買い換え)を承諾しことによって、古い手形の債権が消滅し、新しい手形の債権が発生したから、(借方)受取手形・(貸方)受取手形と貸借両方に記入します。なお、受け取った利息は、受取利息勘定(収益の発生)の貸方に記入します。

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