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その他の債権と債務の取引

未収金勘定と未払金勘定

商品以外の売買によって生じた債権・債務を処理する勘定です。未収金勘定(資産の勘定)・未払金勘定(負債の勘定)を用います。
土地、建物、車両運搬具、備品、消耗品などの売却や買入、不要品の売却などによって生じた債権・債務が該当します。
未収金勘定は、商品以外の物を売却したが、その代金が後払いになった場合にその借方に記入します。未払金勘定は、商品以外の物を後払い約束で購入する場合、未払額は、貸方に記入し、支払額を借方に記入します。

(借方)

未  収  金

(貸方)

売却によって生じた未収額
(商品以外) (発生)

代金回収
(消滅)

(借方)

未  払  金

(貸方)

代金支払額
(消滅)

買入によって生じた未払額
(商品以外) (発生)

【例】

1.不用になったダンボール箱を売却し、その代金¥6,000は月末に受取ることにした。

2.かねて売却したダンボール箱の代金¥6,000を本日現金で受取った。

3.営業用金庫を¥180,000を買入れ、代金のうち¥80,000は現金で支払、残額は月末に支払うことにした。

4.月末払いの約束で買入れてあった机、椅子などの備品代金¥230,000小切手を振出して支払った。

(仕訳)

1.(借方) 未収金

6,000

(貸方) 雑収入(雑益)

6,000

2. 現金

6,000

未収金

6,000

3. 備品

180,000

現金

80,000

未払金

100,000

4. 未払金

230,000

当座預金

230,000

●参考
1.商品の仕入や売上を掛で行った場合は、売掛金勘定と買掛金勘定を用いて処理するが、商品以外の物の売買のよって発生する一時的な債権・債務は未収金勘定(資産の勘定)、未払金勘定(負債の勘定)で処理します。ダンボール箱の売却のよる収益の発生だから雑収入勘定(収益の勘定)を作成しその貸方に記入する。

2.一時的な債権を処理する未収金勘定において、代金が回収されたので、未収金勘定の貸方に記入して勘定を減少(消滅)させる。

3.未払金勘定は、商品以外の物を代金後払いで購入した場合に用いる一時的な債務勘定で、買入額は貸方に記入し、支払額は借方に記入します。営業用の金庫は商品ではなく営業活動のために使用する備品として取り扱われるものであるから備品勘定の借方に記入します。

4.一時的な債務の未払金として処理されていた備品の購入代金を、小切手を振出して支払った。これで債務の終了となり未払金勘定の借方に記入し、未払金勘定を消滅させます。

【問題】
次の取引を仕訳してください。   解答例

1.大阪商株式会社(1株あたり時価¥500)の株式を1株¥600で10,000株買い入れ、代金¥5,000,000を小切手を振出して支払い、残額は月末に支払うことにした。

2.不用となった新聞や雑誌を売却し、代金¥5,000は月末に受取る約束とした。

3.営業用建物¥10,000,000を購入し、代金のうち¥5,000,000は小切手を振出して支払い、残額は2か月後に支払う約束とした。

4.月末に受取る約束で売却した不用品の代金¥7,000を、本日現金で受取った。

5.かねて月末払いの約束で購入した備品¥350,000を本日小切手を振出して支払った。

 

前払(渡し)金勘定と前受金勘定

商品の売買に先立って、買い手が売り手に対して商品代金の一部(内金)または全部支払うことがあります。このような場合、買い手は、内金を支払ったとき、前渡金勘定(前払金勘定・資産)の借方に記入し、売り手は、この前受け分を前受金勘定(負債)の貸方に記入します。商品の受渡しが行われたとき、売り手は、前受金の借方に記入し、買い手は、前渡金勘定の貸方に記入します。
内金と同じように手付金として支払ったり、受取ったりした場合は、支払手付金勘定(資産の勘定)受取手付金勘定(負債の勘定)を設けて処理することがあるが、簿記検定試験では、内金と手付金は前渡金勘定(資産)と前受金勘定(負債)で処理されている。

(借方)

前 渡 金(前払金)(資産)

(貸方)

内金などの前渡分の金額
(発生)

商品など受取後の振替金額
(消滅)

(借方)

前 受 金(負債)

(貸方)

商品などの発送後の振替金額
(消滅)

 

内金などの前受分の金額
(発生)

【例】

1.山口商店は、呉商店に商品¥400,000を注文し、内金として¥50,000を小切手を振出した。

2.山口商店は、呉商店から上記商品¥400,000を受取、内金を控除して、残額は掛とした。

3.甲斐商店は相模商店から商品¥600,000の注文を受け、代金のうち¥150,000を小切手で受取、直ちに当座預金とした。

4.甲斐商店は相模商店に上記商品¥600,000を発送した。なお、発送費¥8,000は現金で支払った。

(仕訳)
1.(借方) 前渡金(前払金)

50,000

(貸方) 当座預金

50,000

2. 仕入

400,000

前渡金

50,000

買掛金

350,000

3 当座預金

150,000

前受金

150,000

4. 前受金

150,000

売上

600,000

売掛金

450,000

現金

8,000

発送費

8,000

●参考
1.商品を注文した時点では、簿記上の取引は発生していません。仕入れる前に、仕入先の呉商店に内金¥50,000を代金の一部として前渡しているから、この金額は前渡金勘定(資産の勘定)の借方に記入し、支払額は小切手を振出しているので当座預金の減少となりますから、当座預金勘定の貸方に記入します。

2.商品の注文に伴って、内金が前渡されていて、後日商品を受取ったということは、仕入の発生となり前渡金は、商品代金に充当されるので前渡金勘定の貸方に記入します。前渡金を差引いた残額は、掛となりますから、買掛金勘定の貸方に記入します。

3.この仕訳問題も注文を受けた時点では、簿記上の取引は発生していません。しかしこの例では、注文を受けた時点で代金の一部を受取ったことにより取引の発生となり、仕訳をしなければなりません。注文を受けた段階で代金の一部を受取っていますので前受金勘定(負債の勘定)の貸方に記入します。

4.得意先に商品を発送したので、売上計上のため売上勘定の貸方に記入し、代金は前に一部受け取っていた額を差し引き(前受金勘定の借方に記入)、その残額は、掛売の処理(売掛金勘定の借方に記入)を行います。特別に掛売したという説明がなくても一般的に商品を売り上げた場合は、代金の支払方法が明示されていなくても、掛売(売掛金)として処理します。

【問題】
次の取引の仕訳をしてください。  解答例

1.先に注文のあった商品を引き渡し、この代金¥600,000から手付金¥60,000を差し引いた差額を同店振出しの小切手で受取った。

2.京都商店は大阪商店から商品¥500,000の注文を受け、その代金の20%を現金で受取った。

3.岩手商店は、商品¥450,000を仕入れ、注文のときに支払った内金¥50,000を控除して残額は今週中に支払うことにした。

4.滋賀商店は、近江商店から注文のあった商品¥700,000を発送した。先に受取った内金¥200,000を代金の一部に振替、残額は今月の末に受け取る予定である。

 

立替金と預り金勘定

取引に対する現金の立て替えとか、従業員や役員に一時的に立替払いをしたときは、立替金勘定(資産の勘定)を設定して処理する。立替払いをした時には立替金勘定の借方に記入し、返済を受けたときはその勘定の貸方に記入する。なお、従業員や役員に対する立て替えは、従業員立替金勘定(資産)、役員立替金勘定(資産)などの勘定を設け立替先名を勘定科目に利用することもあります。
取引先に対する保証金、従業員に対する身元保証金、給料を支払うときに所得税や従業員負担の社会保険料(健保、雇用保険等)、市民税などを納付するまで一時的に預かったときに、預り金勘定(負債の勘定)を設定して処理します。預かったときは、この勘定の貸方に記入し、返済したり納付した場合は借方に記入します。なお、預かった内容をわかりやすくするために従業員預り金勘定、所得税預り金勘定などの勘定科目を利用する場合があります。
簿記検定試験の許容勘定科目表では、どちらを用いてもよいですが、問題で勘定科目の指定があればその指定に従った勘定科目を用いてください。

(借方)

立 替 金

(貸方)

立替て支払った金額
(発生)

 

回収した金額
(減少または消滅)

(借方)

預 り 金

(貸方)

納付した金額
返済した金額
(減少または消滅)

一時的に預かった金額
(発生)

【例】

1.従業員甲野太郎のために、乙商店に¥90,000を小切手を振出して立替払いをした。

2.本月分給料¥300,000の支払に際し、上記甲野太郎への立替金のほか、源泉所得税¥10,000を差し引いて残額を現金で支払った。

(仕訳)

1.(借方) 立替金
(従業員立替金)

90,000

(貸方) 当座預金

90,000

2. 給料

300,000

立替金

90,000

預り金
(所得税預り金)

10,000

現金

200,000

●参考
1.会社内部の従業員への立替金だから、資産の勘定である立替金勘定の借方に記入します。また、¥90,000の返済を受けたときは、貸方に記入して減少させます。

2.給料の支払いは費用の発生になりますので給料勘定の借方に記入します。支払った給料のうちから立替金の返済を受けたので、立替金勘定の貸方に記入します。また、一時預かりの源泉税は、預り金勘定(負債)の貸方に記入します。そして、差引き残額が給料の現金支払額になりますので現金勘定の貸方にその支払額を記入します。

【問題】
次の取引の仕訳をしてください。    解答例

1.従業員A氏のためにB株式会社に対し¥80,000を現金で立替て支払った。

2.給料の支払いに際し、A氏の支給額は¥350,000であり、このうち¥50,000の立替分を差引き、源泉税¥10,000を差引き、残額は現金で支払った。なお、立替金の残額は、貸付とした。

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