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株式会社会計4

繰延資産

創立費・開業費

会社を設立するためには、経費がかかります。発起人に対する報酬、登記費用、株式発行費用、創立事務費などです。このような会社創立に直接必要となる費用が創立費です。また創立しても開業までには、いろいろ準備の費用がかかります。この費用が開業費です。
創立費・開業費は支出も大きく、しかも支出の効果が来期以降におよぶことが明らかです。従って、費用の支払年度一年間の経費(費用)として取り扱うのは合理的ではありません。そこで、これらの支出は、資産として計上し、数年間にわたって費用として償却していくほうが合理的です。これら支出を繰延資産と呼びます。商法上も、創立費、開業費を繰延資産として貸借対照表に計上し、5年以内に均等額以上の償却をするように定めています。

【例】

1. 会社設立にさいし、株式の発行費用¥500,000を現金で支払った。

2. 決算にさいし、上記の費用の5分の1を償却した。

(仕訳)

1.(借方) 創立費

500,000

(貸方) 現金

500,000

2.     創立費償却

100,000

     創立費

100,000

●参考

1. 会社設立のための株式発行費用は、創立費勘定を用います。

2. 創立費を償却する場合、創立費償却勘定(費用)を設けをその借方に記入します。貸方は、創立費(繰延資産)の減少なので、この勘定の貸方にその額を記入します。

創立費

創立費償却

(1)     500,000

(2)     100,000

(2)     100,000

 

新株発行費

現在会社として事業を営んでいる会社が、新たに新株を発行する場合に要する費用を、新株発行費と呼びます。この新株発行費も創業費・開業費と同様に繰延資産で、商法では、支出後3年で償却することとしています。

【例】

1. 新たに株式を発行し、この費用¥1,500,000を小切手を振出して支払った。

2. 決算に際し、上記の費用のうち¥500,000を償却した。

(仕訳)

1.(借方) 新株発行費

1,500,000

(貸方) 当座預金

1,500,000

2.     新株発行費償却

500,000

     新株発行費

500,000

●参考

1. 新株式を発行したときに要する費用は、新株発行費勘定(繰延資産)の借方に記入します。この仕訳は、新株式発行の仕訳と一緒に出題される場合が多いです。

2. 新株発行費を償却する場合は、新株発行費償却勘定(費用)を設けその借方に記入します。貸方は、新株発行費(繰延資産)の減少なので、この勘定の貸方にその金額を記入します。

 

社債発行費

社債発行のために要した費用(社債券の印刷費、目論見書、登録費用など)を支出した場合は、社債発行費勘定(繰延資産)を設けて記入します。この社債発行費は、商法では、支出後3年内に、ただし3年内に社債償還期限が来た時は、その期限内に毎決算時に均等額以上の償却をするように定めています。

【例】

1. 社債発行のための諸費用¥1,800,000を小切手を振出して支払った。

2. 決算にさいし、上記の費用のうち¥600,000を償却した。

(仕訳)

1.(借方) 社債発行費

1,800,000

(貸方) 当座預金

1,800,000

2.     社債発行費償却

600,000

     社債発行費

600,000

●参考

1. 社債発行のために要した諸費用は、社債発行費勘定(繰延資産)を設けその借方に記入します。

2. 決算にさいし、社債発行費を償却する場合は、社債発行費償却勘定(費用)を設けてその借方に記入します。貸方は、社債発行費(繰延資産)の減少なのでこの勘定の貸方に¥600,000を記入します。

 

社債発行差金

日本では、社債の発行はほとんど割引発行です。社債額面と発行価額の差額は、社債発行差金勘定(繰延資産)を設けてその勘定の借方に記入して処理します。
社債は額面金額で償還されるから、社債発行差金は社債の発行によって調達した資金の前払利息と考えられています。よって、社債発行差金をすべて支出した会計年度の費用とするこは適切ではありません。社債が償還されるまでの期間内に決算時において均等額以上の償却をすることになっています。社債発行差金を償却したとき、その償却額は、社債発行差金償却勘定の借方に記入と、社債発行差金勘定の貸方に記入します。

【例】

1. 額面¥80,000,000の社債を¥100につき¥99で発行、償還期限5年後、年利率5%、利払日3月と9月の末日の条件で発行した。発行によって得た資金は当座預金とした。

2. 決算において、上記の社債のついて発行差金の5分の1を償却した。

(仕訳)

1.(借方) 当座預金

79,200,000

(貸方) 社債

80,000,000

      社債発行差金

800,000

2.    社債発行差金償却

160,000

   社債発行差金

160,000

●参考

1.発行価額の計算:¥80,000,000×0,99=¥79,200,000
社債発行差金の額の計算:
社債額面¥80,000,000−発行価額¥79,200,000=¥800,000(社債発行差金)
社債を発行して得た資金は、当座預金としたので、この勘定の借方に記入され、発行した社債は額面金額で、社債勘定(負債)の貸方に記入、社債額面と発行価額の差額は、社債発行差金勘定の借方に記入します。

2. 社債発行差金を償却したとき、その償却額は、社債発行差金償却勘定(費用)の借方と社債発行差金勘定(繰延資産)の貸方に記入します。

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