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簿記学習目次

私 の 掲 示 板

はじめに》 勘定の必要性について

簿記では、資産・負債・資本の増減は、項目別に区分して記録・計算される。この項目別区分を勘定といいます。勘定が帳簿上に設けられる場所を勘定口座といいます。勘定口座は、学習の便宜上、下記のようなT字形(Tフォーム)で示すことが多い。そして、その左側を借方、右側を貸方と呼ぶ。また、勘定につけた名称を勘定科目とよび、その上部に記載します。なお、勘定には資産・負債・資本のほかに収益・費用に属する勘定があり、収益の勘定では、その発生を貸方に記入する。費用の勘定では、その発生を借方に記入する。
取引は、下記の借方要素と貸方要素の8つが結びついて成り立ちます。会計学上、取引の8要素と呼ばれているもので、取引の仕訳を行う上でとても重要ですから確実にマスターしてください。

(借方)

資産の勘定

(貸方)

増  加

減  少

(借方)

負債の勘定

(貸方)

減  少

増  加

a
(借方)

資本の勘定

(貸方)

減  少

増  加

a
(借方)

費用の勘定

(貸方)

発  生

a

(借方)

収益の勘定

(貸方)

a

発  生

 

現金預金 (現金、現金過不足、小口現金)

【現金】

私たちの日常生活では通貨だけを「お金」と呼んでいます。しかし簿記では、いつでも現金化できるものも含みます。他人振り出しの小切手、送金小切手、郵便為替証書、株式配当金領収書、満期の公社債利札、国庫金支払通知書などを現金として取り扱っています。
現金勘定の処理については、現金を受け入れたときには現金勘定の借方に、支払ったときには現金勘定の貸方に記入します。よって、現金勘定の残高は、常に借方に生じ現金の手許有高を示します。また、現金の手許有高と一致します。

(借方)

現   金

(貸方)

前 期 繰 越 高

収  入  高
------------------------

支  払  高

/         手許有高(残高)

 

【例】
A商店から売掛金の回収として、同店振り出しの小切手¥250,000と現金¥50,000を受け取りました。

(仕訳)

(借方) 現金      300,000 (貸方) 売掛金     300,000

●参考
 A商店振り出しの小切手は、他人振り出しの小切手なので、現金勘定で処理する。(直ちに当座預金に預けていないので現金扱)よって、小切手代金¥250,000と現金¥50,000の合計¥300,000を受け取ったことになります。また、相手勘定科目は、売掛金の回収なので売掛金の減少。

【問題】
次の取引を仕訳してください。

取          引 解答例

1

貸付金¥300,000のうち、¥100,000を利息¥7,000とともに小切手で返済を受けた。

2

B商店に対する買掛金¥250,000の支払として、先にC商店から受け取った小切手¥200,000と現金¥50,000を渡しました。


【現金過不足】

現金の手許有高と帳簿(現金勘定)の残高が一致しない場合は、まずはじめに、記帳・計算の誤りや記入もれ、現金が紛失していないかどうかを調査し、一致しない原因を探す必要があります。そこで、不一致の原因が判るまで、帳簿残高を現金手許有高に一致させておき、不足額または超過額は現金過不足勘定を設けて処理する。帳簿残高より現金手許有高の方が多いとき、超過額はなんらかの原因で現金が増加したものを帳簿に記入していないか、または、現金の受渡しを間違えたと考えられ、原因が判るまで仮の受取りという形にして、現金過不足勘定の貸方に記入しておきます。
帳簿残高より現金手許有高の方が少ないとき、不足額は現金支払の記入洩れと考えられ、仮払いという形にして、現金過不足勘定の借方に記入しておきます。このように手許有高と帳簿残高とが不一致の場合、現金の手許有高の金額に帳簿残高を合わせる。
過剰の場合でも、不足の場合でも、相手勘定科目は、現金過不足という勘定科目で処理する。

@ 現金過剰の場合
   現金手許有高¥10,000-帳簿残高¥9,000-

現  金

 (借方)

現金過不足

(貸方)

¥70,000

¥1,000記入

¥61,000

残高¥9,000

a

過剰額¥1,000

上記の場合の仕訳
(借方)

現  金      1,000

(貸方)

現金過不足     1,000

A 現金不足の場合
   現金手許有高¥20,000-帳簿残高¥25,000-

現  金

(借方)

現金過不足

(貸方)

¥100,000-

¥75,000-

¥5,000-

残高¥25,000-

不足額¥5,000

a
上記の場合の仕訳
(借方) 現金過不足  5,000 (貸方)

         現  金  5,000

 

【例】
1. 8月8日 今日の現金手許有高を調べたところ、帳簿残高より¥2,900多かった。

2. 8月10日 調査結果、8日の過剰額¥2900は、手数料の記入洩れと判明。

3. 8月25日 今日再び現金の手許有高と帳簿残高を照合したところ、手許有高が¥2,500少なかった
 

(仕訳)
(借方)
(貸方)

1

現金      2,900

現金過不足    2,900

2

現金過不足    2,900

受取手数料    2,900

3

現金過不足    2,500

現金      2,500

●参考
現金手許有高が¥2,900多かったということは、現金が¥2,900増加しなければならないところ記入していなかったか、¥2,900少なく記入した等が考えられる。まずはじめに、現金を¥2,900増やす仕訳を行い、その相手勘定科目は原因が判るまで現金過不足勘定で処理しておきます。
原因が判って手数料の記入洩れであるから、受取手数料の発生です。よって、現金過不足勘定で一時処理していた科目を受取手数料に替える仕訳を行う。
8月25日の現金手許有高が¥2,500少ないのは、すでに¥2,500が支払われたのに帳簿に記入されていないことが多い。現金がなんのために支払われたか判らないため、とりあえず現金勘定を¥2,500減少させる仕訳をしておきます。現金の減少となった科目は現金過不足勘定で処理しておきます。
不一致の原因が判った時点で、その判明した勘定科目へその金額を振替え、現金過不足勘定を減少(消滅)させる。しかし、決算になっても不一致の原因が判らない場合、不足額は雑損勘定(費用の勘定)に、超過額は雑益勘定(収益の勘定)に振替え、現金過不足勘定の残高をゼロにします。

【例】
3月31日 決算につき、前年8月25日の不足額¥1,800のうち¥1,000は利息支払の記入洩れであることが判明したが、残り¥800は原因が判らず、雑損として処理した。
(仕訳)
(借方) (貸方)

支払利息

1,000

現金過不足

1,800

雑損

800

●参考
¥1,800のうち¥1,000は支払利息の記入洩れと判ったから、借方に記入されている現金過不足勘定に代わって支払利息勘定を発生させる。残額については、決算時でも判明しない場合は、雑損勘定か雑益勘定で処理し、現金過不足勘定は次期に繰り越さない。この場合では、不足額だから、雑損勘定に¥800を振替えて現金過不足勘定を減少(消滅)させる。

【問題】
次の取引を仕訳してください。

取             引  解答例

1 現金の実際有高を調べたところ、現金勘定の残高より¥5,000不足していた。
2 調査中だった現金過不足¥1,500は事務用文房具の代金支払の記入洩れと判明した。
3 期中に現金の実際残高が帳簿残高より¥50,000多かったので、これを現金過不足勘定で処理しておいた。決算に際し現金売上の記入洩れが¥40,000あることが判明。なお、残額は原因不明のために、雑収入として処理する事にした。
4 決算に際し、現金過剰額¥1,000原因不明のため、雑益勘定とした。
5 かねて、現金過不足勘定で処理しておいた過剰額¥30,000は、地代の受取額¥50,000と手数料の支払額¥20,000の記入洩れであることが判明した。
6 AZ商会はかねて現金過不足勘定で処理しておいた現金不足額¥50,000について調査したところ、利息の受取分¥30,000と交通費の支払分¥70,000の記入洩れであったことが判明。しかし、残りの不足額が判明せず、雑損として処理した。

 

【小口現金】

企業では、通常、金銭の受入や支払は当座預金を通じて行われる。でも、現金を置かないわけにはいかない。日常、小口の経費支払のためにあらかじめ一定の必要金額を予定して、手元に現金を置いておくことが必要になる。このため置いておくことを小口現金といい、小口現金勘定を設けて記帳する。小口現金を前渡したときや、補給したときには、小口現金勘定(資産の勘定)の借方に記入し、支払の報告を受けたときには、その貸方に記入する。
小口現金の支給には、普通、定額資金前渡法(インプレントシステム)が用いられる。この方法では会計係は一定期間、例えば、1か月間の小口現金の必要額を見積もりこれを担当の係(小口現金係)に前渡しておいて月末に実際の報告を受け、それと同額を補給する方法です。月の初めに小口現金係には、いつも、一定金額が手元にあるわけです。

【仕訳例】
@小切手補給
(借方)

小口現金  ○○○

(貸方)

当座預金  ○○○

A支払報告
(借方)

交通費  ○○○

(貸方)

小口現金  ○○○

通信費  ○○○

消耗品費  ○○○

報告と同時に小切手を補給した場合 (@+A)
(借方)

通信費  ○○○

(貸方)

当座預金  ○○○

交通費  ○○○

消耗品費  ○○○

【例】
1 定額資金前渡法を採用しているBY会社の会計課は、¥50,000の小切手を振り出して用度係に渡した。

2 月末に用度係から本月中の支払高につき、次のとおり報告があり直ちに支払高を小切手を振り出して補給した。
通信費 ¥5,000  交通費 ¥6,500  消耗品費 ¥8,000  雑費 ¥2,500

(仕訳)
(借方) (貸方)

1

小口現金  50,000

当座預金  50,000

2

通信費    5,000

当座預金  22,000

交通費    6,500

消耗品費   8,000

雑費     2,500

●参考
定額資金前渡法(インプレントシステム)により小切手を振り出して用度係に渡したときは、小口現金勘定(資産の勘定)の借方に記入し、支払額の報告を受けたときはその貸方に記入する。月末に用度係から小口の支払明細の報告があり、直ちに小切手で補給するか、報告があって後日補給するかによって仕訳の仕方が違ってくる。
直ちに補給する場合、小口現金勘定を発生させないで、経費の諸勘定を借方に、当座預金勘定を貸方に記入する。
後日補給する場合は、経費の諸勘定を借方に、小口現金勘定を貸方に記入する。

【問題】
次の取引を仕訳してください。

取            引  解答例

小口現金係から、次のように支払の報告を受け、直ちに小切手を振り出して資金を補給した(定額資金前渡法)を採用している。
通信費 ¥12,000 交通費 ¥28,000 雑費 ¥10,000

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